コーポレートサイトって、作る側から見ると地味です。派手なLPみたいに数字で勝ち負けが見えにくいし、SNSでバズる要素も少ない。
でもね、採用も営業も広報も、だいたい最後はここに帰ってきます。名刺交換した相手が最初に見るのもここ。怪しい会社かどうかを0.5秒で判定されるのもここ。怖い。
あなたが今、Web制作の勉強中でも、実務でコーディングしていても、コーポレートサイトの理解は避けて通れません。案件で突然「会社案内っぽいサイト作って」と振られます。はい、来た。逃げ場なし。
この記事は、コーポレートサイトとは何か、役割、必要なコンテンツ一覧、作り方の流れ、メリットとデメリット、そして「止めた方がいいこと」まで、フロントエンド目線でまとめます。WordPressにも貼りやすい形で、現場の空気をなるべくそのままに。
コーポレートサイトとは 会社の信用をWebに置く場所
コーポレートサイトは、会社の公式情報を集約するWebサイトです。会社概要、事業内容、実績、ニュース、採用情報、お問い合わせなどが並びます。
ECでもない。予約サイトでもない。広告の着地点だけでもない。そういう意味で、成果が見えにくいタイプのサイトに分類されがちです。
でも実態は「信用のインフラ」。会社の外側に向けて、安心して取引していい相手かどうかを判断する材料が置かれます。人は疑い深い。だからこそ必要だ。
サービスサイトやLPと何が違うのか
サービスサイトは特定のサービスを売る場所です。LPはもっと尖っていて、1つの行動に導くための一本道。
一方、コーポレートサイトは複数の目的を同時に背負います。採用したい。取引したい。問い合わせを増やしたい。投資家にも見られる。地味に欲張りセット。
この「目的の混在」が、設計を難しくします。見た目以上に難しいのはだいたいここ。
役割は何か 会社の顔だけでは足りない
よく「会社の顔」と言われます。間違いではない。でも顔だけだと薄い。
コーポレートサイトの役割は、もっと生々しいです。たとえばこう。
- 信頼の担保: 会社が実在し、責任を取れる体制があることの提示
- 情報の一次ソース: ニュースや公式発表の置き場
- 営業支援: 提案書を開く前に見られる背景資料
- 採用の母艦: 求職者が「ここで働けるか」を見極める場所
- 問い合わせ窓口: 仕事の話も、取材も、迷子の連絡も全部集まる
どれも地味です。地味だけど、壊れたら困る。水道みたいな役割。
誰が見ているかを想像すると設計が変わる
ユーザー像を雑に「顧客」と書いた瞬間に負けます。見ているのは顧客だけじゃない。
- 見込み顧客: 取引前に不安を潰したい
- 求職者: 社風と将来性を嗅ぎたい
- 取引先の法務や経理: 会社情報を確認したい
- メディア: 会社の正式名称や沿革を拾いたい
- 競合: だいたい見ている。静かに
ここで質問です。あなたが作っているページ、誰の不安を消しに行っていますか?
止める必要があるのは何か まずは「雰囲気だけサイト」
コーポレートサイトで止めた方がいいのは、雰囲気だけで作ることです。オシャレだけで押し切るやつ。写真がでかい。文字が薄い。スクロールするとフワフワする。中身がない。
もちろん世界観は大事。でも、コーポレートサイトは信用商売なので、情報が足りないと逆効果になります。
- 会社概要が薄い、または見つからない
- 所在地が曖昧、地図がない
- 代表者名がない
- 問い合わせ先がフォームだけで電話もメールもない
- 実績や事例が0
この状態は、ユーザーから見ると「逃げ道を用意している会社」に映ります。厳しいけど現実。フロントエンドとしては、情報設計の時点で止めに行きたい。
必要なコンテンツ一覧 これがないと始まらない
コーポレートサイトの必須コンテンツを、優先度つきで整理します。案件で「最低限どこまで?」と聞かれたときの武器にもなる。
最優先 まずは信頼の土台
- トップページ: 何の会社かを一瞬で伝える
- 会社概要: 会社名、所在地、設立、資本金、代表者、事業内容、従業員数など
- 事業内容: サービスや提供価値の説明
- 実績・導入事例: 企業名が出せないなら業界や規模で補う
- お問い合わせ: フォーム、メール、電話、受付時間、担当窓口
- プライバシーポリシー: フォームがあるなら必須
ここが揃っていないサイトは、だいたい離脱率が高いです。情報が足りないと、ユーザーは戻るボタンを押すだけ。冷たい。
次に欲しい 採用と広報のための装備
- 採用情報: 募集要項だけでなく働く環境やカルチャー
- 社員紹介: 顔が出せないなら文章でもいい
- ニュース・お知らせ: 更新頻度が低いなら無理に作らない選択もある
- 企業理念・ビジョン: 文章が抽象的すぎると逆に恥ずかしいので注意
採用ページは、転職サイト以上に見られることがあります。特にエンジニアは会社サイトを見てから応募します。ソースまで見てくるやつもいる。怖い。
あると強い 競争力を作るコンテンツ
- ブログ・コラム: SEOの土台になる
- ホワイトペーパー: BtoBで刺さる
- FAQ: 問い合わせ工数を削れる
- サステナビリティ・CSR: 大手や公共系で求められやすい
- IR情報: 上場企業なら必須
ただし全部盛りは危険です。更新できないページは、ないより印象が悪いことがある。放置されたニュース一覧、だいたい悲しい。
コンテンツごとの狙い 何のために置くのかを言語化
コンテンツは「あるとそれっぽい」ではなく、役割から逆算したいところです。フロントエンドの実務でも、設計意図が見えると実装判断が速くなります。
会社概要は信頼の名刺
会社概要は、法務や経理が見る可能性があります。つまり、読み手は冷静で厳しい。デザインより正確さ。
社名の表記ゆれや、所在地の古さ、代表者名の誤字は即アウト。ここは気を抜くと痛いです。
事業内容は「できること」より「解決できること」
機能説明だけ並べると弱い。何を解決できる会社か。どんな業界に強いか。ここまで書けると、営業が楽になります。
あなたの会社、強みを一文で言えますか?言えないなら、サイトにも書けません。
実績は最強の説得材料
実績が出せない場合は、業種、規模、担当範囲、成果物の種類で補います。「大手企業多数」だけだと信用されません。みんな言うから。
やり方 コーポレートサイト制作の進め方を現場目線で
ここからは作り方。制作会社でも、社内制作でも、だいたい同じ流れで転びます。
1 目的を整理する 採用なのか営業なのか
目的が混ざるのがコーポレートサイトですが、優先順位は決める必要があります。全部を同じ熱量でやると、全部が中途半端になります。
2 ペルソナより「不安」を集める
ペルソナ作りに時間をかけすぎるより、ユーザーの不安を洗い出す方が効きます。
- この会社は実在する?
- 連絡先はちゃんとしている?
- 実績はある?
- 採用はブラックじゃない?
- 情報は最新?
不安が消える順番に、ページ構成が決まっていく感じ。ここで設計が楽になる。
3 サイトマップを作る コンテンツの棚卸し
ページ数が少ないほど、ナビゲーション設計はシビアになります。トップに詰め込みすぎると迷わせる。階層を深くしすぎると見つからない。ほどよく悩む。
4 デザインより先に原稿を書く これが効く
現場のあるあるですが、デザイン先行で進めると、あとから文章が入らず破綻します。コーポレートサイトは情報量が命なので、テキスト優先が強い。
文章が決まると、レイアウトの迷いが減ります。エンジニアも助かる。デザイン修正も減る。
5 実装 フロントエンドは「読めるHTML」が正義
実装の話もします。コーポレートサイトはSEOもアクセシビリティも効くので、見た目だけでなく構造が大事。
- 見出し階層を守る: h2の下にh3、飛ばさない
- パンくずを整える: 情報の位置を伝える
- 画像には代替テキスト: 装飾画像は空でもいい
- リンク文言は具体的に: 「こちら」祭りはやめる
- フォームはラベル必須: プレースホルダーだけは事故る
地味です。けれど、こういう積み重ねが「ちゃんとしてる会社感」になります。Webは空気が出る。
6 運用設計 更新担当と更新方法を決める
更新しないなら作らない。これは暴言ではなく、運用コストの話です。ニュースを作るなら、誰が月に1回更新するのか。採用情報を作るなら、募集が終わったら誰が閉じるのか。
WordPressなら、編集権限、カスタム投稿、ACFなどの設計まで含めて運用のしやすさを作ります。作って終わりは幻想。
メリット コーポレートサイトがある会社は強い
- 信頼を獲得しやすい。取引前の不安を減らせる
- 問い合わせの質が上がる。前提情報を共有できる
- 採用が強くなる。社風を伝えられる
- 営業資料になる。説明を短縮できる
- SEOの土台になる。指名検索で勝ちやすい
個人的には採用への効きが大きいと思っています。給与や職種よりも、会社の雰囲気で応募が決まることがある。サイトが雑だと、優秀な人ほど逃げます。
デメリット 作っただけで放置すると逆効果
- 更新されないと「動いてない会社」に見える
- 情報が古いと信用を落とす。所在地や代表者名の誤りは致命傷
- ページが増えるほど管理が増える。運用者がいないと崩壊する
- セキュリティ対応が必要。WordPressなら特に
コーポレートサイトは、冷蔵庫みたいなものです。買った瞬間がゴールじゃない。掃除しないと臭う。放置すると痛い。
必要コンテンツを実務でチェックするための一覧
ここはコピペで使えるチェックリスト。制作前の要件整理にも、納品前の確認にも使えます。
信頼と法務の基本
- 会社概要: 会社名、所在地、代表、設立、資本金、事業内容
- 沿革: 年表形式だと読みやすい
- アクセス: 地図、最寄り駅、駐車場など
- プライバシーポリシー
- 利用規約: サービス提供がある場合
- 特商法表記: ECや有料サービスが絡む場合
事業と実績
- 事業内容ページ
- サービス紹介ページ
- 実績・事例
- 取引実績: ロゴ掲載は許諾確認
- 料金やプラン: 出せる範囲で
採用とカルチャー
- 採用トップ
- 募集要項
- 働く環境: 福利厚生、制度、オフィス
- 社員紹介
- 選考フロー
広報と信頼の継続
- ニュース・お知らせ
- プレスリリース
- ブログ・コラム
- FAQ
問い合わせ導線
- お問い合わせフォーム
- 電話番号、メールアドレス
- 資料請求
- よくある質問への誘導
フロントエンド目線での実装Tips 地味だけど効くやつ
ここからは現場で「気が利くねえ」と言われる確率が上がる小技。
ナビゲーションは迷わせない どこに何があるかが全て
グロナビに何を置くかでサイトの性格が決まります。おすすめは「会社情報」「事業」「実績」「採用」「お問い合わせ」。迷ったらこれで良い。
情報が多いならメガメニューもあり。ただしモバイルでの操作性が落ちるなら、素直に階層化した方が勝ちます。
文章は短文と長文を混ぜる 読まれ方を意識
忙しい社会人は流し読みします。そこで長文ばかりだと詰みます。
短い文章で区切る。たまに長く語る。これだけで読みやすさが変わる。CSSより効くことがあるので悔しい。
画像は軽くしないと信用が落ちる
遅いサイトは不安になります。トップが3秒以上かかると、会社のレスポンスまで遅そうに見える。偏見だが、人はそういう生き物。
- WebPやAVIFを使う
- 遅延読み込みを入れる
- ヒーロー画像は優先読み込みを検討
フォームは入力体験が命
問い合わせフォームは、会社の窓口です。ここが使いにくいと「対応も雑そう」と思われます。怖い話。
- 項目数を絞る
- エラー文言を具体的に
- 送信完了の導線を整える
- スパム対策を入れる
よくある失敗 パターン別に刺しておく
失敗1 採用ページが募集要項だけ
給与と勤務地だけ載せるやつ。気持ちはわかる。でも求職者が知りたいのは「どんな人がいて、どんな空気で、どんな成長ができるか」です。そこがないと応募が増えない。
失敗2 会社概要がPDFしかない
スマホでPDFを開かせるのは、けっこうな罰ゲームです。Webページで基本情報は持っておく。PDFは補助。
失敗3 ニュースが3年前で止まっている
更新できないなら、最初から出さない方が良いこともあります。あるいは「実績」や「コラム」など更新しやすい枠に寄せる。運用できる形にするのが正解。
最後に 読者に有益な追加情報 仕様書より強い整理術
コーポレートサイト制作で迷ったら、ページごとにこの3つを書き出してみてください。
- このページを読む人は誰か
- その人が持っている不安は何か
- 読み終わった後にどう動いてほしいか
これが揃うと、文章が書けます。デザインも決まります。実装も迷いません。
逆にここが曖昧だと、見た目だけ立派な箱になります。箱は空っぽ。Webはすぐバレる。
もう1つだけ聞きます。あなたのサイト、初見の人が「ここなら問い合わせて大丈夫」と思える材料、足りていますか?
作るのは大変です。でも、ちゃんと作ると長く効きます。派手さはない。けれど強い。そういうサイトが好きです。

