日本語Webデザインにおいて、文章の読みやすさや見た目の美しさは重要なUXの要素です。特に和文と欧文、数字が混在するケースでは「文字幅の不揃い」がデザイン全体のバランスを崩す原因になります。
この記事では、CSSの font-feature-settings: “palt”; を活用し、OpenTypeフォントのプロポーショナル字形機能を使って、文字の詰まりや不自然な空白を整える方法を詳しく解説します。
実務でWebフォントを扱うデザイナー・エンジニアや、フロントエンド学習中の方に向けた内容です。
font-feature-settingsとは?
CSSの font-feature-settings プロパティは、OpenTypeフォントに組み込まれている高度な機能(字形制御)を明示的に有効化するためのものです。
font-feature-settings: "タグ名" 値;
- “タグ名”:OpenTypeで定義された4文字の機能タグ
- 値:1(有効)または 0(無効)
よく使われるタグ例:
- “liga”:合字(fi, flなどを一体化)
- “kern”:カーニング(文字間調整)
- “palt”:日本語向けプロポーショナル幅(本記事で解説)
“palt”タグの役割とは?
日本語特有の「字送り問題」
日本語フォントは多くが等幅(モノスペース)で設計されており、仮名や漢字、数字や欧文がすべて同じ幅で表示されます。
そのため、例えば「2024年のWebデザイン」というような文では、数字や英字が不自然に大きく見えてしまうことがあります。
palt = Proportional Alternate Width
“palt”は、OpenTypeフォントに組み込まれている「プロポーショナル代替字形」を使う機能です。
これを有効にすると、以下のような変化が起こります。
有効にするとどう変わる?
通常(等幅) | Web2025年のデザインガイド |
“palt”有効化 | Web2025年のデザインガイド |
- インラインテキストでの視認性・可読性が向上
- UIの均整や美観が整いやすい
実装例:font-feature-settingsで”palt”を適用する
<p class="typography">2025年のWebデザインはABC123のように進化している。</p>
.typography {
font-family: "Noto Sans JP", "Hiragino Kaku Gothic Pro", sans-serif;
font-feature-settings: "palt" 1;
font-variant-east-asian: proportional-width; /* フォールバック */
line-height: 1.8;
}
ポイント:
- font-feature-settings: “palt” 1; によりプロポーショナル代替字形を有効化
- font-variant-east-asian: proportional-width; は旧ブラウザ向けの保険(IEは未対応)
対応フォントの確認がカギ!
すべてのフォントが “palt” をサポートしているわけではありません。
以下のような日本語フォントは、palt対応済みで使いやすいです。
フォント名 | Google Fonts対応 | paltサポート |
---|---|---|
Noto Sans JP | ✅ | ✅ |
Yu Gothic UI | ✅ (一部) | ✅ |
Hiragino Kaku Gothic | ❌ | ✅ |
メイリオ | ✅(Windows) | ❌(効果なし) |
実務で使う場合は、「palt対応」の確認が非常に重要です。
実務での使いどころ
✅ UIやボタン内のテキスト
数字や英語を含むボタンの表示が均整され、視認性が高まります。
✅ タイトルと本文の差別化
見出しのみ palt をオフ、本文に適用することで自然な印象に。
✅ インライン混植テキスト
「日本語とEnglishの混在文章」の違和感を軽減。
さらなる応用:font-feature-settingsの複数指定
p {
font-feature-settings: "palt" 1, "liga" 1, "kern" 1;
}
- “liga”:合字機能をオンに
- “kern”:文字間の自然な間隔調整を有効化
“palt”と合わせて指定することで、より読みやすい美しいテキストが実現できます。
注意点と落とし穴
Internet Explorerには非対応
font-feature-settings自体がIE未対応です。古い環境をサポートする場合は、font-variant-* を使うか、代替スタイルを用意しましょう。
レイアウト崩れに注意
paltの有効化により文字幅が変動するため、以下のような要素で崩れが起きやすくなります。
- グリッド内のテキスト
- 固定幅のボタン
- 幅を基準にしている要素の中
対策:
white-space: nowrap;
min-width: 80px;
などを必要に応じて追加しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. font-feature-settings と font-variant-east-asian の違いは?
A. 前者はOpenType機能を直接指定、後者は**論理的なグループ指定(簡易)**です。互換性重視なら後者、精度重視なら前者を使いましょう。
Q. 効果が出ないのはなぜ?
A. 使用しているフォントが “palt” をサポートしていない、またはブラウザが未対応である可能性があります。
まとめ:paltを使いこなして、文字組の質を一段上へ!
font-feature-settings: "palt" 1;
は、たった一行で日本語Webタイポグラフィを美しく整える強力な武器です。特に以下のようなケースで積極的に使うことで、読みやすさ・デザイン性の両面でメリットが得られます。
- 和文と欧文・数字の混在
- UIテキストの視認性向上
- 可読性の高いWeb記事やアプリ画面
美しいWebタイポグラフィの第一歩として、ぜひ今後の開発に取り入れてみてください!