WordPressを使ってサイトを開発しようとしたとき、公式サイトから「zipファイル」をダウンロードしてFTPでアップロードする手順を考える方は多いですよね。
しかし、いざ作業を進めようとすると次のような壁にぶつかることがあります。
- 「サーバーのコントロールパネルにログインできない」
- 「データベース(MySQL)の情報がわからない」
- 「FTPだけでWordPressを設置できるの?」
この記事では、WordPressのzipをFTP経由でアップロードして開発を始めるまでの手順と、サーバー管理画面にアクセスできない場合の代替方法を、実務レベルでわかりやすく解説します。
1. WordPress開発に必要なもの
まず、WordPressを動かすためには次の4つの要素が必須です。
| 必要なもの | 役割 | 備考 |
|---|---|---|
| FTP情報 | ファイル転送 | WordPressの本体をサーバーにアップロードする |
| データベース | 投稿や設定の保存先 | MySQLまたはMariaDB |
| PHP | サーバーでの処理 | WordPressはPHPで動作 |
| ドメイン | サイトのURL | テスト環境ならローカルでもOK |
このうち、**データベース(DB)**が最も重要です。
WordPressは投稿・設定・ユーザー情報などをすべてDBに保存します。
そのため、サーバーでDBを作成できない状態ではWordPressを完全に動かすことはできません。
2. FTPでWordPressをアップロードする手順
WordPressのzipを使った基本の流れは以下のとおりです。
STEP 1. WordPressをダウンロード
- WordPress日本語公式サイトから最新版を入手。
- zipファイル(例:wordpress-6.x.x-ja.zip)をローカルに保存。
STEP 2. zipを解凍
- ローカルで解凍して「wordpress」というフォルダを展開。 中には次のような構成があります。
wordpress/
├── wp-admin/
├── wp-content/
├── wp-includes/
├── index.php
└── wp-config-sample.phpSTEP 3. FTPでサーバーにアップロード
- FileZillaなどのFTPソフトを使用。
- サーバーのドキュメントルート(例:public_html)に接続。
- 「wordpressフォルダの中身」を丸ごとアップロード。 もしサイトをルートで公開したい場合は、中身を直下に置きます。
public_html/
├── wp-admin/
├── wp-content/
├── wp-includes/
└── index.php3. データベース作成が必要な理由
WordPressのセットアップ時には、次の4つのDB情報を入力します。
define( 'DB_NAME', 'データベース名' );
define( 'DB_USER', 'ユーザー名' );
define( 'DB_PASSWORD', 'パスワード' );
define( 'DB_HOST', 'ホスト名' );そのため、コントロールパネルにログインしてDBを作る工程はスキップ不可です。
4. サーバーにログインできないときの対処法
「管理画面のログイン情報がない…」「DBを作れない…」
そんなときは、以下のいずれかの方法を取りましょう。
① 管理者・担当者に依頼する
サーバー管理者に次のように依頼すればOKです。
「WordPress開発を始めたいので、データベースを1つ作っていただけますか?
以下の4項目を教えてください。」
- データベース名
- データベースユーザー名
- データベースパスワード
- ホスト名(例:localhost または mysql999.xserver.jp)
この4つの情報があれば、FTPだけでWordPressを設置できます。
② ローカル環境で開発を始める
もし本番サーバーの情報をまだもらえない場合は、ローカル環境での開発が最も現実的です。
おすすめツール
| ツール名 | 特徴 |
|---|---|
| Local (by Flywheel) | WordPress専用。クリック操作だけで環境構築可能 |
| MAMP | Mac向けの定番。Apache + MySQL + PHPを簡単起動 |
| XAMPP | Windowsユーザー向け。安定して動作する開発環境 |
これらは内部でMySQLを自動起動するため、サーバーパネル不要でWordPressを動かせます。
Localでのセットアップ手順(簡略版)
- Local公式サイト からアプリをダウンロード
- インストール後、「Create a new site」をクリック
- サイト名・ユーザー名・パスワードを設定
- 自動的にWordPressが起動 → http://localhost/サイト名 で開発開始
本番サーバーにアクセスできるようになったら、ローカルで作ったテーマをFTPでアップロードするだけで移行可能です。
5. まとめ:焦らずローカルで始めよう
| 状況 | 対応方法 |
|---|---|
| サーバーにログインできる | DBを作成して本番設置 |
| サーバーにログインできない | 管理者にDB情報を依頼 |
| テスト環境で始めたい | Local / MAMP でローカル開発 |
WordPressはFTPだけでは動作しませんが、データベースの準備さえ整えばどこでも動かせる柔軟なCMSです。
開発初期はローカルで構築 → 準備が整い次第、本番へデプロイという流れが最も効率的です。
まとめの一言
「データベースがない=WordPressは動かない」
ただし、開発環境をローカルで整えればすぐに作業を始められます。
サーバー情報がまだ届かない時期でも、ローカルでデザイン・テーマ制作を進めておくのがプロのやり方です。

